花嫁だもの
2005-01-14T23:49:52+09:00
hanayomedamono
ウェディングフォトグラファーによる結婚式爆笑日記
Excite Blog
ずーっと
http://hanayomeda.exblog.jp/1546544/
2005-01-14T23:47:29+09:00
2005-01-14T23:49:52+09:00
2005-01-14T23:46:38+09:00
hanayomedamono
つぶやき
撮影の前日は、だいたいこんな感じだ。
彼女がどういう人で、彼がどういう人か。
朝ごはんを食べながら、本を読みながら、電車に乗りながら、散歩しながら、お酒を飲みながら・・・。
2人が結婚式が終わった後、自分が撮影をした写真を2人が見ているところを想像したりする。想像妊娠ならぬ、想像写真・・・??
でも。
こんなことを繰り返しても、結婚式は当日、何がおこるかわからない。本当に。
だから、もうやーめた。
明日は雪の予報。
「雪」だということがマイナスに働かないように。
「雪がふってたね、そういえば」っていう写真が残せるように。
がんばるぞ!!
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ねぎらう二人。
http://hanayomeda.exblog.jp/1457336/
2004-12-20T20:01:07+09:00
2004-12-20T21:42:26+09:00
2004-12-20T19:59:21+09:00
hanayomedamono
ビデオさん
ウェディングフォトグラファーのライバルを強いてあげるなら、ビデオさんかもしれない。お互いの目的は「撮影」。
わー。かぶってる!
結婚式の写真に力を入れるカップルも多いが、「ビデオ」に気合いを入れるカップルも多い。一生に一度(じゃない人もいるけど)の特別な日。その「記録」はいくらあってもいいのかもしれない。「ビデオは必要ですかねえ?」とお客さんから聞かれることは多い。ものすごい本音を言っていいのであれば、細木先生のように「ねえ、言ってもいい?」となめ回した後、5秒ぐらいのイヤ〜な間をおいて、
「頼んじゃダメよ。私の邪魔だから。あんた死ぬわよ。」
と言いたい。でも、そんなこと言えるわけがない。ちぇっ。
結婚式の撮影は、「予想」の連続だったりする。例えば、
・ブーケが届く→彼女の喜ぶ表情が撮れる。
・ボリュームのあるドレスの新婦→移動のシーンはゆっくり撮れる。
・親族紹介でちびっこが紹介される→緊張がゆるみ親族の笑顔が撮れる。
・ケーキカット後のファーストバイト→口を一緒にあけてしまう友人が撮れる。
など、瞬間的に予想し、先回りをして撮影の立ち位置を決めることは多い。
ただ当たり前だが、この予想は当たる時もあれば、当たらない時もある。当たらなかったときはしょうがない。私が「予想屋」として失格なだけだ。馬券をちぎって宙にばらまき、ガニ股で歩けばいいだけの話。
でも、予想が当たっているのに撮れなかった時、これはもうくやしくて、くやしくてやりきれない。シャッターを押そうとした瞬間、横からビデオが「ぬ〜」っと出て来た瞬間。
びっくりするわ!(大阪弁で)
お前、何さらしとんねん、おら、わしがここから、あれ撮ろうと思うてやな、ここにずーっとおって待ってたの見てなかったんかいな、かなわんで、自分〜。
なんていう、やっさんな気持ちである。
いいな、大阪弁。(←すごい偏見)
しかし、お互い様である。ビデオさんだって「カメラマン、邪魔だよ〜」と思うことはかなり多いだろう。「私も撮りたい、あなたも撮りたい。」という合い言葉を胸に(どんな合い言葉?)、「ゆずりあい」の精神をもつことは非常に重要。別に対決しているわけじゃないし。目的はお互いに、「2人に喜んでもらうものを残すこと」なのですから。ビデオさんがいる時は、できるだけ「撮ったらすぐどく、撮ったらすぐどく」をいつもより意識的にするようにしまあす。
ある日の撮影。
人のよさそ〜なビデオさん。強いて言えば、礼儀正しいのび太くんと言った感じ。それ以上曲がらないでしょ、と心配になるぐらいの深いお辞儀とともに、恐縮してしまうぐらいの丁寧なご挨拶をされる。
「できるだけ邪魔にならないように致しますので。僕は本当に大丈夫ですので、どこからでも撮ってください。邪魔な時は大声で「邪魔っ!」と叫んでくださいっ!」
・・・・・・。
いや、叫びはしないですから。のび太くん。
以前、新婦のことが大・大・大好きの新郎がいて(死語?)、「お願いです。僕の写真はいいですから、知子のきれいな姿をたくさん撮ってあげてください!」と手を握ってきた新郎を思い出した。「いや、あなたも主役ですから。」と思った。ていうか、手握らないで。
同じように、のび太くんにも「いや、あなたも仕事ですから」と言いたかった。
そして、2人がメイクルームから現れる。
すると、のび太くん、実に奇妙な動き。欽ちゃんもまっ青の横歩きである。しかも顔は私のほうを向いている!
いや、いいですから、そんなに気にしなくて。私も撮れる位置から撮りますし。ファインダーのぞいて下さい、本当に、と心配になる。あなたのクライアントは私ではなく、2人ですから!
不安がよぎる。
そののび太くんの奇妙な動きが、どうしても視界に入ってしまい、何回も口元がゆるんでしまう。う〜。逆にそんなに気にされるとやりにくい。
そんな彼の「人に迷惑をかけまい」とする一生懸命さと、ビデオさんだということを忘れさせるほどのサービス精神は、ゲストにも大好評。だって、ビデオさんなのに足の悪いおばあちゃんの手を引いたり、ゲストがカメラを持っていると、すぐに「撮りますよ」と言ってかけつけたり。アピール度満点!!
君は介添えか!
そんな気持ち悪さが大人気の彼は、新婦の友人たちに「一緒に写真撮ってくださあい」なんて言われていた。そんな光景を見た瞬間、彼の手にビデオカメラがないことに気づく。
お?大丈夫なのか?本当に。あの人。
と心配になって辺りを見渡してみる。すると、なんと。
なんと!!!!
なんと!!!!!!!
はるか遠くの、会場の後ろのほうに三脚が!
ビデオカメラがその上に!!
しかも赤く点滅している!
置き撮りかよっ!!!!
ありえない。ありえない。
・・・・・。
面白すぎる。
負けた。(何が?)
何で、あなたの仕事道具のビデオカメラがほったらかしなんですかっ!!
そんな結婚式も無事終わり(どんな結婚式?)、最後に2人に挨拶をする。
ゆずることが大好きなのび太くんは、案の定私の撮影が終わるのを十分すぎるぐらいに待ち、私の了解を得て2人に声をかけ、自分のビデオの「しめ」を撮影し始める。(ていうか、了解いりませんから。)
柱の影からのび太を見守る。
すると、衝撃的な発言が!
「それでは新郎様、新婦様、最後にお互いをねぎらってあげて下さい。」
は?
何でビデオカメラの前でお互いをねぎらうの?
はてなマークがいっぱい頭の上についている私の前で、またもや信じられない光景が!
新郎「えーっと、仕事が忙しくて、あんまり手伝えなくてごめんね。のり子のおかげで、いい結婚式をすることができました。ありがとう。」
!!!!!!
ねぎらってる!!
ねぎらってるぅぅぅぅぅ!!!
確かにねぎらっている。これは普通のことなのか?
2人は結婚式の後、出来上がったビデオを見て、ビデオの中の2人がお互いのことをねぎらっているのをテレビの前で見て・・・(繰り返し、早口で数回お読み下さい。)
何だかよくわからなくなってきた。
うれしいのか?それは、うれしいのか?
帰り道に寄ったカフェ。ビール1杯を飲み干した後も、やっぱり納得いかず、もう1杯。(言い訳。)
待てよ。結婚式の後に、出来上がったビデオを見よう!ということになって、テレビの前に座って、ビデオの中でお互いをねぎらっている2人を、その当人の2人が実際に見て、それで・・・・(←しつこい)
う〜ん。謎だ。
「2人のために」と、彼なりの一生懸命な姿はとても美しかった。でも少し、からまわりしているような気もしたのは、私だけだろうか。でも、密かにまた彼と会えることを心待ちにしている。だって、面白いんだもん!彼。
次は、どんなビデオさんと一緒だろう。
ウェディングフォトグラファーはオモシロ人間との出会いの宝庫である。
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今日は真面目に。
http://hanayomeda.exblog.jp/1300975/
2004-11-11T23:15:26+09:00
2004-11-11T23:14:19+09:00
2004-11-11T23:14:19+09:00
hanayomedamono
つぶやき
私が結婚式の写真と出会ったきっかけはロサンゼルスの本屋さんでした。
いつもよく立ち寄る本屋で、その日は写真集コーナーに足をひっぱられました。
写真といっても、ファッション、報道、料理、建築、人・・と分野はさまざまです。漠然と写真を撮りたいという気持ちを持ちつつ、自分がこれから何を撮っていきたいのか、手探りで探していたような時代でした。
その日、何気なく手に取ったのが、「wedding photojournaism」という本でした。写真集といってもソフトカバーの全てモノクロの薄い本でしたが、私は何度もページをめくり夢中になりました。何だか頭にかみなりでも落ちたような衝撃でした。(落ちたことはありませんが)おそらく1時間はその本を眺めていたことでしょう。
少し大袈裟かもしれませんが、こういうのが「出会ってしまった」っていうんだろうなとその時思ったのを覚えています。「こういう写真が撮りたい!」と強く思ったのを覚えています。
人は忘れる動物です。慣れてくると少し油断してしまったり、怠慢になることがあります。でも、「結婚式」というのは2人にとって1回きりのものです。その日の天気、その日働くスタッフ、会場の装飾、出席する友達。何一つとっても、全く同じものを再現することはできません。「結婚式」に限らなくとも、写真というのはもう戻ってこないその「一瞬」を切りとるものです。その少しの油断や怠慢が大事故になることもあります。
だからこそ、常に緊張感を持ち、絶対に初心を忘れてはいけない仕事だというのをいつも感じます。
あの日、自分が「ウェディングフォトグラファーになりたい」と強く思った気持ちをいつまでも忘れずに、自分が写真を撮ることで喜んでくれるカップルがいる限りずーっと結婚式を撮っていきたいと思います。
という決意をした今日の日でした。
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負けました、あなたには。
http://hanayomeda.exblog.jp/1180959/
2004-10-16T02:58:33+09:00
2004-10-16T03:16:56+09:00
2004-10-16T02:56:46+09:00
hanayomedamono
メイクさん
結婚式のBGMは2人が選曲、編集してMDなんかに入れて流すのが一般的。始めてのデートの時に流れていた曲、いつものドライブでかけていた曲、カラオケで彼が彼女のために歌ってくれた曲・・?それぞれに思い入れがある選曲は、その2人がどういう人たちなのか知るヒントにもなる。エンヤで始まりエンヤで終わるロマンチック大好きカップル、ボサノバずくしのラテンの血流れてそうカップル、ジャズィーな大人な雰囲気でしめる年増カップル、あゆ、槙原、安室ちゃん、ジャパニーズポップス大好きカップル・・。わかりやすいな、みんな。
その日。
プランナーの方が気をきかせて、メイクルームでも2人が作ったお気に入りの音楽を流してくれていた。気持ちもいっそう盛り上がる2人。
流れてくる音楽。それは、
なんと、
チェッカーズずくし。
どうだ!!
何が?
やばい。やばいっ。やばいぃいいっっっっっ。
ていうか、大胆だな、こんな選曲。
ずーっと、チェッカーズの曲って、あんた。
「あ・の・子・と・ス・キャ・ン・ダ・ルっ!」
言うてる場合違うやろ、あんた。(関西弁への憧れ。)
あってる?使い方?あってる?
この大胆さに、ある意味ものすごーく2人を尊敬しつつ
私の心はドキドキドキドキ。
中学生の時、ちぇっかるずのファンクラブに入っていたのは、何を隠そうこの私。
解散コンサートで号泣したのも、はい、私です。お小遣いを必死にためてクロベエが撮影したメンバーのプライベートビデオ(\5,000)をやっと買ったのも、そうですよ、私ですよ。フミヤの結婚記者会見の模様をうつしたワイドショーを全てビデオにとって何百回も再生して涙をぬぐったのも、そうよ、あたしよ。(なぜか逆ギレ)
ちょっぴり恥ずかぴー、こんな過去を言うべきか、言わないべきか3曲目ぐらいまで迷ったあげく、がまんできずに言ってしまった。
「ホントすいません。私、今までかかった曲、全部何も見ないで歌えます。」
やだー!!!!
何言ってるの!バカバカ。私のバカァ。
言っちゃった、言っちゃった、言っちゃったー!!
そんなに自慢できることじゃないのに、ものすごく胸をはって自慢してしまった自分に嫌気がさしつつ。みんなの反応をおそるおそる待つ私。(もちろん、上目使い。)
口もひらかずに、朝から無心でシャッターを押して、ちょっと硬派っぽくかっこつけてたのに。イメージくずれた?ねえ、ダウン?ダウン?ダウン?
あー失敗かな、失敗だよね、やっぱり。今の発言、失敗だよね。
あーーーーーーーー!!!!
その時、その時である。
私が毎日寝る前に5回は聞いていた曲、
「Long road」が流れてしまったのである。
えーっと、サビを歌っちゃうとですねえ、
「ロングロード、ディスロングロード♪何もぉ〜知らずにボクは♪遠回り、遠回りぃ、くりかっえしぃた、けぇえれどぉ〜♪ロングロード、ディスロングロード♪君を〜迎えにゆぅくよぉ〜♪・・・・」みたいな感じなわけですよ、はい。
(ちょっと、私今日は文章がおかしいですけど)
わかります?この彼がですね、遠回りしたけど、迎えに来てくれたわけですよ、
「君しかいないことがわかったんだぁ!!!」ってな感じに。そんなの歌詞にないけど。
だからだから、こんな曲が流れてきたら、こまっちまうんですよ、私としては。
胸キュン♡で。
同類項だと感じた新婦は本当にうれしそうに、
「いいですよねえ〜、この曲。「Long Road」たまんないですよね〜」
と私へ手を差し伸べてくれた。
ありがとう!ありがとう!
こんなところで、「チェッカーズ共感」できる人がいてくれたなんて。
ていうか、だんだん恥ずかしくなってきました。ここまで書いて。
「ホント、この曲たまらないですよね、「Long Road」。大好きでしたよ、私。」
と頬を赤らめ興奮する。
すると、ずーっとぽか〜んと口をあけて仲間に入れなかったメイクさんが、
「やっと、仲間に入れる!!」と言わんばかりに目を輝かせてこう言いました。
「あー!!!!!!知ってる!!!その曲!!すごい流行りましたよねー!!えーっと、何だっけ、あの人たち。えーっと、えーっと・・・」
「あっっ!思い出した!!
虎舞龍(とらぶりゅー)でしょ?」
・・・。
・・・。
・・・。
メイクさん。それは、
「ロード」ですからっ!!!!
すご〜く長いやつですから!!!!
「ロード」違いですからっ!!
残念っっっっっっ!!
その日の思いでは全て虎舞龍に早変わり。
ウェディングフォトグラファーは本当に楽しい職業です。]]>
寿貧乏
http://hanayomeda.exblog.jp/1136975/
2004-10-07T00:58:21+09:00
2004-10-07T00:58:21+09:00
2004-10-07T00:58:21+09:00
hanayomedamono
つぶやき
うれしいことですが・・。
職業柄、撮影を頼まれることも多く。
おいしそうなご馳走と私の大好物のお酒をたらふく堪能している友人たちを横目に撮影に集中するのはもう何ともいえない気分です。くやしいやら、悲しいやら。
カメラを投げ出して、友人と一緒に席にすわってワイワイ祝福したい!という葛藤にかられながら、「私からの祝福はこの写真を残すことなんだ」と自分を説得して仕事します。
来月は自分の友人に頼まれた撮影だけで何と3件。みんな、ニアミスで別々の日にしてくれて本当にありがとう。(涙)
みんなで私を置いていかないで下さい。(号泣)
幸せになりたぁぁああい。
さあ寝よ。]]>
ちゅー
http://hanayomeda.exblog.jp/1078923/
2004-09-24T23:09:24+09:00
2004-09-24T23:09:24+09:00
2004-09-24T23:09:24+09:00
hanayomedamono
つぶやき
さぁて、明日の結婚式も頑張っていきましょう。]]>
撮影前日
http://hanayomeda.exblog.jp/1049579/
2004-09-18T22:36:29+09:00
2004-10-07T01:05:35+09:00
2004-09-18T22:36:29+09:00
hanayomedamono
つぶやき
明日はそんな「始めての会場」。
ちょっと緊張ぎみ。
前日のお酒もいつもより控えぎみ。
明日はどんなストーリーが生まれるか。
本当に楽しみ。]]>
最後までつかめない新郎
http://hanayomeda.exblog.jp/987572/
2004-09-06T22:10:13+09:00
2004-09-18T22:28:20+09:00
2004-09-06T22:10:13+09:00
hanayomedamono
新郎
「撮影打ち合わせ」。それは2人を撮影する上で、ものすごく大事な時間。「カメラマンとの打ち合わせって一体何をするんですか?」と心配げに聞いてくる人も多いが、答えは簡単。「おしゃべり」である。
ウェディングフォトグラファーの中にも、照れ屋や人見知りはいる。何を隠そう、私もかなりの人見知りである。(一度会った人とはおしゃべりが止まらなくなるぐらいしゃべるので、馴染むのが早すぎるとも言われるけれど。)結婚式当日、顔も知らないカメラマンに「はい、笑ってくださいねぇ〜」と言われて、上手に笑える人がいるとすれば、モデル経験でもある人だろう。もしくは、前日、鏡の前で100回ぐらい笑う練習をしたか。初対面の人間に向ける笑顔と、一度会ったことのある人間に対する笑顔。これは、もう「ヌケ」が違うのである。
ただ、この「ヌケ」を作るには、打ち合わせの内容による。とにかく、たわいもないことをしゃべるだけでいいのだ。盛り上がること。距離感をちぢめること。「私」がどんな人間か、「2人」がどんな人間か、お互いに理解することで残る写真は歴然と変わる。空気感は驚くほど写真にうつりこむのだ。だから、私にとっても、2人とっても打ち合わせは、本当に必要な時間だと私は考える。
その日の新郎→びっくりするぐらいの、無愛想。
何かいやなことでもあったのか、とにかく会った瞬間からふてくされた感じだった。「写真なんか、興味ないぜ」ってな感じ。「こんにちは」と私が大きな声でいうと、彼女だけ「こんにちは」と可愛らしく挨拶。彼は微妙に頭をさげるだけ。小心者の私はちょっぴりビビりながら、「彼の心をつかむまでは、今日の打ち合わせは終わらせないぞ」と心に誓う。そして何度も彼の目を見て質問した。
「タキシードは何色なんですか?」「どんなところが気に入って?」「けっこう、緊張するタイプですか?」「友達もたくさん招待されてるんですか?」「人前でオナラしたことあります?」
と、いつもは聞かない下世話なことまで、ムキになって質問した。なぜなら、いくら彼に答えてもらいたくて質問しても、すぐに彼は彼女のほうを向いて、あごをクイっと突き出すのだ。
「お前が答えろよ」
という具合に。そして、彼女は申し訳なさそうに、
「あ、スタンダードな黒です」「えーっと、白だとキザかなあと思って」「そうですね、私のほうが緊張するかもしれませんね」「あの、たくさんよびたかったんですけど、どちらかというと親戚が多いですね」「・・・。」
君に聞いてるんじゃなああああああい!!!!!!!!!!
と悪くもない彼女に、こぶしをふりあげる。(うそ)
私の頭の中→→→→→→→何でだろう。何でだろう。何でだろう。何でだろう。
私のことキライ?私のことキライ?私のことキライ?私のことキライ?
と机の下で、人差し指と人差し指をくっつけながら、口をとがらしてみる。
私は油汗をかきながら1時間半、かなりの勢いでしゃべった。若手芸人か?というぐらいさむいギャグだって飛ばした。途中、失礼ながらウソをついてトイレにまでこもり、作戦を練り直したりもした。しかし。ウソのような本当の話。
彼の声を耳にすることはなかった・・・。
お手上げ状態になった私はしょうがなく、最後は桂三枝ばりに転倒して(うそ)、泣く泣く打ち合わせを終えた。
果たして彼は私に笑顔を見せてくれるのか。
前日の夜、彼を笑わすためのイメトレをしていた私はちょっと寝不足気味。私がさむいことを言ったらなぐられたりして。いやん。
会場に到着。メイク撮影ができない会場だったため、今か今かとメイクルームの出口で待つ私。どきどきどきどき。こんなに緊張することは、あんまりないのに。納得する打ち合わせができなかった2人を撮影する日は、ちょっと緊張する。私も打ち解けていないからだ。でも。
こんなことじゃいけない!!
と自分を奮い立たせる。そして、2人登場。目のぱっちりした彼女は、まるでお人形さんのようにかわいかった。彼ばっかりに気をとられ、彼女のことを忘れかけていた私は、今日の主役は彼女だということを思い出し、シャッターをきる。あぶない、あぶない。よかった思い出して。マジで。
そして、ポーズ撮影。
彼女は笑顔。そして彼は、無表情。
う〜〜〜〜〜〜〜。笑ってくれえええ。(泣)
でも、ここであまり無理強いをして、時間をもらいすぎても介添えさんに嫌な顔をされる。ある程度シャッターをきった後、披露宴会場へと移動する。(この日は披露宴のみ。)
披露宴では、友達も少なく会社関係や親戚の方が多かったせいか、大笑いするような場面も少なく、彼の笑顔をファインダー越しに待つ→あきらめる、待つ→あきらめる、の繰り返し。「おーい、上司ぃ、もっと面白いこと言えよぉ」と何の罪もない上司に恨みをいだきつつ、とうとう披露宴も中盤にさしかかり余興の時間になってしまった。
このままでは、「彼がとってもつまらなかった結婚式」が写真として残ってしまう!焦る。彼女のためにも、彼が幸せな表情をしたその瞬間を、絶対に逃さないようにしなければ!と変な使命感にかられる。余興の時間も、難無く無表情に終わり、がっかりと肩を落とす。楽しむんだ、新郎!笑うんだ、新郎!そうじゃないと、君は一生後悔するぞ!(何で?)
すると私の思いが伝わったのか、数少ない彼の友人が彼のもとへとビールを注ぎに来る。彼が笑った。
笑えるじゃぁあああああああああん!!!
ダウンタウンの浜ちゃんに負けないぐらい、彼の頭をひっぱたきたい衝動にかられつつ、連続撮影。
ヵシャーンヵシャーンヵシャーンヵシャーン。
え、うるさい?ちょっと目立ってしまったようだが、気にせず続ける。
あー、これで少し安心。やっぱり友達といる時は、笑うんだな。よかったよかった。彼も人間だったよ。てことは、やっぱり私の打ち合わせのシャベリはいけてなかったんだな、とまた落ち込む。
その後は、お酒も入り、ちょっと頬を赤くした彼は、幸せそうに披露宴を楽しんでいた。(ように思うことにする。)
宴もたけなわ。楽しい時間はあっと言う間に過ぎるものですね。
(司会者お決まりの言葉)
私にとってはかなり長く感じた披露宴であったが、とうとう最後の謝辞へと進む。彼なりに一生懸命に本からパクった、棒読みの挨拶も終え、送賓も無事終了。何か物足りなさを感じながらも2人のもとに、いつものように最後の挨拶をしに行く。彼の第一印象が強烈だったこともあり、私にとっては思い出深い撮影となった。すると、全て終えた2人の表情は、ホっとしたような、とても優しい顔だったので、ここぞとばかり「最後に1枚!」といって、シャッターをおす。
彼→満面の笑み。
できるじゃああああああん!!
最後のそれが、最高の一枚となる。
そして彼は一言言った。(私の名前を仮に鈴木としよう。)
「鈴木さん、写真すごく楽しみにしてます。ありがとうございました。」
えっ、楽しみに?私の写真を?君が?
帰り道の私→→→→→→→→→→→やっぱり号泣。
嫌われてなかったんだ、嫌われてなかったんだ。わーい。
伝わったんだ、伝わったんだ。わーい。
その日は東京から電車で3時間かかる会場だったため、ビールは電車の中で。言うまでもなく、格別の味わいであった。2本目の空き缶を手でつぶしながら「終わりよければ、全てよしだな。」と何度もひとりうなずきながら上機嫌になる。
2人が心を開いてくれたと(勘違いの時もあるけど)感じた日、それは本当に嬉しい日。ウェディングフォトグラファーは、これがあるからやめられない。
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老体
http://hanayomeda.exblog.jp/948568/
2004-08-30T15:40:30+09:00
2004-08-30T15:40:30+09:00
2004-08-30T15:40:30+09:00
hanayomedamono
つぶやき
ヴァージンロードに入れない親子
http://hanayomeda.exblog.jp/934192/
2004-08-27T17:58:34+09:00
2004-08-27T17:58:34+09:00
2004-08-27T17:58:34+09:00
hanayomedamono
結婚式会場
最近人気の結婚式といえば、レベルの高い料理でゲストに喜んでもらえるレストランウェディングや、一軒家を貸し切ったような気分になれるハウスウェディングである。私のように30歳間近ともなると、友人の結婚式に招待される頻度も増え、寿貧乏の月なんていうのもある。もうちょっとみんなバラけて結婚すればいいのに。そして、結婚式が慣れっ子になった未婚女性たちの会場での会話と言えば「○子の結婚式は会場の人がヤな感じだった」とか「○美の結婚式は装花が豪華だった」などと各会場に関するコメント。「オリジナル」にこだわる今時の都会の女性たちにとって「ホテルでの結婚式」というのは最初から選択肢に入っていないようで、あーだこーだと評論家ばりの意見交換がひと通り済むと決まって私への質問にうつる。
「どこが一番よかった?」。
・ ・・・。
むずかしい。(ていうか、結婚の予定ないのに?私もだけど。)
だって、みんなが「何を」大切にしたいか、「何に」こだわりたいのかで大分、答えは変わってくる。長いバージンロードを歩くのが夢!という人もいれば、お庭で写真をたくさん撮ってほしい!という人もいれば、親戚が田舎から大勢来るから交通の便がいいところが第一条件!という人もいる。だから私はいつも、こう答える。
「一番よかった会場は言えないけど、やめたほうがいい会場は言えるぜ」
トレンチコートの襟で口を隠しながら。意地悪そうな顔で。ふふ。
なんてったって、ウェディングフォトグラファーはスパイである。2人の会場到着から送賓に至るまで、メイクさん、介添え(アテンド)さん、司会者、プランナー、キャプテン、お花屋さん・・・と、その日一日に関わる人々の行動を鋭くチェックし、裏での会話に耳をダンボにしているのは、何を隠そう、私です。
今日の結婚式は「ハウスウェディング」。できたばっかり。
→何かが起こる予感。
予想通り、スタッフの方たちはあまり要領を得ていない様子。式を挙げるフロアでのイス並べもままならない。「あ、そんなに狭くしちゃったら、私が式中に通れないではないか!」とか、「その角度に並べたら、そこに座った人はせっかくの花嫁さんが見えないよ」とか心の中でヤキモキしながら、横目に様子を眺める。やっとのことで並べたイスの間に、赤い絨毯を引き、コロコロでゴミを取り始める。よかった。もうすぐ完成。ゲストがヴァージンロードを踏まないように、ポールも置いて、はい完成。スタッフの男の子2人→達成感でいっぱい。
そして主役の二人の支度も完成。目を細めて嬉しそうに手をたたく、親族たちの間をぬって、親族紹介へ。緊張の面持ちの中、両家がずらっと勢揃い。そしてキャプテンは両家の名前を間違える。
イヤな空気。
親族集合写真へ移る時に、プランナーの女性が花嫁に駆け寄る。「おめでとうございますぅー!!やー、いつもと全然違う!今日は本当にきれい!」
あぁぁぁぁ!!。もっと言葉を選んでよぉ!元気でニコニコ、とにかく明るくという姿勢は認めるけど、その言葉はちょっと気遣いが足りないぜい、プランナーさん。せっかくの嬉しそうな花嫁の表情が、ちょっと曇る。「今日は」って強調しなくても。
その後の挙式会場へのゲストの誘導も頼りなく、車イスのお年寄りをほったらかしにしたり、両家の親を逆に座らせたり。プランナーの彼女はというと、披露宴で使うBGMが入ったMDが見つからず、今頃あたふた。最終確認とかないの、昨日とか。ねえ。ていうか、もうすぐ式がはじまる・・・。
サービスって何だっけ、何だっけぇえええええ!!
ちょっとした殺意を覚えながら(うそ)、父と娘の入場に備える私。その会場は入り口からヴァージンロードまでの距離がけっこうあったので、父と娘の後ろ姿や始まる直前の緊張した横顔などをおさめてから、一番前にまわって2人を正面から撮る作戦。
気持ちを切り替えて、よし、がんばるぞ!少し震える父上の腕に、彼女が腕を通す。父上の表情をファインダー越しに凝視した途端、胸がキュン。例のごとく「超簡単に」泣きそうになる自分に自己嫌悪しつつ、早歩きで一番前に移動する。
そして、父と娘がヴァージンロードに一歩踏み出そうとした瞬間であった。
!!!!!!!!!
ポ、ポ、ポールが外されていない!!父と娘が「ヴァージンロード立入り禁止状態」である。ゲストはそれに気づき、周りを見渡す。あたふたあたふた。信じられないことにスタッフは誰一人気づかず、にこにこと立っていた。
ちょっとおおお!!早くポールを!ポールを!(って別に外人のPaulじゃなくってよ)
私がいくらジェスチャーでスタッフに合図を送っても、「へ?」っという顔で通じない。イライラ、ドキドキ。すると、またまた信じられない出来事が!しびれを切らした父と娘は、なんと
またいだ。
ポールをまたいだのである。(って別に外人のPaulをまたいだんじゃなくってよ)
私は立ち上がり、その大胆な選択にスタンディングオベーションをしたい気分だった。
その日の結婚式は、ここでは書ききれないぐらいハプニングが多く、私が経験した結婚式ではワースト3に入る、会場側のお粗末さであった。○百万円もかけたのにね。
無事に撮影を終了したとはいえ何とも後味が悪かったその日は、帰り道に飲むビールは「グラスビール」という気分ではなかった。友人に電話をして自宅に一旦帰り、シャワーを浴びていざ出陣。居酒屋で大ジョッキを傾ける。
2人のために、自分が残したい写真を撮れる環境を作り出せなかった日は、やはり落ち込む。先を読んだ上でのスタッフとのコミュニケーション、チームワークは本当に大事だなと反省しつつ、「ちっくしょー、あいつら」と悪態をつく。これでまた一つ、挙式会場候補が消える。
ウェディングフォトグラファーは未婚女性には向かない職業かもしれない。
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つぶやき
http://hanayomeda.exblog.jp/922716/
2004-08-25T14:11:19+09:00
2004-08-27T11:58:09+09:00
2004-08-25T14:11:19+09:00
hanayomedamono
未分類
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200408240017.html(8.24.2004)
でも、「ダイエットコーク」で乾杯って・・・・。
アメリカっぽい。]]>
アメージンググレースな父
http://hanayomeda.exblog.jp/896678/
2004-08-20T19:02:49+09:00
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hanayomedamono
両親
ウェディングフォトグラファーは常に冷静でなければならない。「何言ってんのよ、よく泣いてるくせに」と、ここまで読んだ人の中には、泣き虫の私を責める人もいるだろう。しかし、笑ったり、泣いたり、怒ったり、感情をむき出しにしてしまうと、シャッターは押せなくなってしまう。絶対に切り取らなければいけない瞬間、「これを押さえたい!」という気持ちが先にきた時は、やはり無心になるというのが正直なところだ。私が「号泣」と書いたところは、つまり垂れ流しの状態である。
しかし、「冷静に。冷静に。」とは思っていても、自分の感情がどうしても抑えられない結婚式があった。
父親の出番といえば、両家を代表して最後に挨拶をする「謝辞」である。「結婚式のスピーチ集」なんていう本を買って、まるで棒読みの父親もいれば、酔っぱらってしまって何を言っているのかわからない父親、全てを自分の手柄にしてしまうダイナミックな挨拶の父親、とさまざまである。
その日、父親の謝辞は歌であった。わおお、ロマンチックぅ!
朝、花嫁がメイクをしている時に聞こえていたのは、練習に励む父の歌声であった。1時間半。とにかく、ずーっと歌っていた。曲は「アメージンググレース」。結婚式には定番ともいうべき、誰もが耳にしたことのある名曲だ。たぁららぁ〜、たらららぁ〜♪のそれである。私はアリサ・フランクリンがこの曲を歌っているのを聞いた時、魂がゆさぶられるというのはこういうことか、と涙がとまらなかった覚えがある。まあ、それはおいておくとして、父上も案の定、その名曲に酔いしれていた。ピアノの伴奏は自分の息子、そう、新郎である。そんな憎い演出の中、二人はうっとりと、(気持ち悪いぐらい)ひたっていた。英語だし。
さて、なぜにそんなに練習が必要だったか。
それは、「感謝の言葉を歌の間奏の部分にはめこむ」という高度な技を披露しようとしていたからだ。つまり「本日はお忙しい中・・」で始まる定番のあの台詞の数々を、ディナーショーの歌手のようになめらかにいれようとしていたのだ。だが、日頃そんな技を練習したこともない素人にとって、それは難しかった。最後の「〜を結びの挨拶とさせていただきます。ありがとうございましたぁ〜。」を言ったあと、2秒ぐらいの間をおいて歌の2番(?)の歌い出しにきれいに入ることができないのだ。最初を油断してゆったりしゃべると、「ありがとうございました」がとても早口になってしまって、感謝もへったくれもない状態になってしまったり、あまりに早口で始めてしまうと途中でかみかみになってしまったりと、父上の奮闘は続いた。こんなことならストップウォッチ持ってくればよかったね。
そんなナルシスト親子を横目に、会場の様子やテーブルセッティングをぱちり。
もうそろそろ式のリハーサル、という時、練習の甲斐あって、ようやく言葉をはめこむことに成功!よかった、よかった。これで、みんなも最後に感動の渦に巻き込まれるよ、パパ。
そして結婚式の1日が始まる。
父上は、ゲストの皆さまに粗相のないよう、本当に丁寧な方だった。控室でもグラスは空になっていないか、誰かイスが足りなくて立っている人はいないか、など常に目を配って気を遣っている姿は、まぶしかった。ああ、父よ。私はあなたのような男性と結婚したい。
もとい。私は、そんな父上の仕事っぷりを見て、とにかく最後の謝辞が待ち遠しかった。
宴もたけなわ。新婦の手紙の朗読で、友人たちはハンカチを目にあてる。そして、一歩一歩花束を胸に両親のもとへと2人が進み、よかったよかったと親戚たちは手をたたく。そしてついにクライマックス。
新郎のピアノに合わせた、父上からの謝辞と聞いて、会場はざわめき、その歌声にうっとりとする女性陣もちらほら。
そして、いよいよ間奏部分!!
「本日はお忙しい中〜」いいぞ、いいぞ、父上。ちょっとスーパーの安売りアナウンスのような口調になっていたのが気になったけど、今のところいい調子。
しか〜し!あまりの緊張で父上は言葉を途中で忘れてしまったのだ。3秒ぐらいのタイムロス。あー!これじゃあ、間奏内でしめくくるのは至難の業。オーマイグッドネス!!私はひとり、息を飲む。そして予想通り、最後の一言は入らないと思われた瞬間、びっくりする出来事が起こったのである。
父上 「〜を結びの挨拶とさせていただきます。ありがっ アァァメ〜ィ、ズィーィングレェ〜ス♪」
なんと!父上はゲストへの感謝の言葉もままならないまま、歌い出しを大切にしてしまったのだ。
私→→→→→→→→→→笑いを抑えるのに必死。
笑ってはいけないと思いつつ、どうしても抑えられず、撮影中断。
そんなぁ、あれほど練習したのに。感謝の言葉はちゃんと言わないと!パパ!
目を潤ませながら、感動の中、歌を聴いていたゲストの何人かは、一瞬きょとん、とした後、私同様、笑わずにはいられず、下を向いて肩を奮わせていた。
プロじゃないんだから。歌よりも言葉を大事にしようよ、パパ。
しかし、父上は達成感でいっぱい。よかった、よかった。拍手喝采。
撮影終了。今日のロケーションはベイエリア。潮風に髪をなびかせ、ビール片手に、にやにやする私。思い出し笑いを抑えるのがこんなに苦しいなんて。その日の撮影の思い出は、全てアメージンググレースに早変わり。ありがとう、父上!つらいことがあった時は、父上のことを思い出すよ。
ウェディングフォトグラファーには、何があっても、冷静に感情を抑える忍耐力も必要である。
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花束を受け取らない母
http://hanayomeda.exblog.jp/799107/
2004-08-03T17:00:17+09:00
2004-08-05T17:29:07+09:00
2004-08-03T17:00:17+09:00
hanayomedamono
両親
結婚式は家族大集合の日である。両親、兄弟はもとより祖父、祖母、叔父、叔母、いとこ。現在30歳前後である2人の両親の時代といえば、兄弟が4人5人は当たり前の時代。親戚やその家族を全て招待するとなるとかなりの数だ。私が子供の頃は、お正月ともなると親戚一同が集まり、いとこなどとカルタや餅つきなどをして遊んだが、いつの頃からか皆が年をとり大人になってからは、そうそう親戚が一同に介すことも少なくなった。よって、結婚式となると、「2人の門出を祝う日」ということを後回しにし、「一族が久しぶりに再会する」ことに胸を膨らませて、ハイテンションになる親が多いのも事実だ。
特に母上。
その日、中国地方出身の2人の親族は大型バスで到着した。親戚が田舎から大勢出てくる場合、バスをチャーターして皆で来る場合がほとんどだ。こういう日はウェディングフォトグラファーにとって「要注意日」だ。
私は花嫁のメイクが仕上がる一番大事な瞬間を迎えていた。メイクというのは仕上がりまで約1時間半ぐらいの時間があるとはいえ、実際に絵になるのはほんの一瞬だ。ドレスを着るのは最後の最後。メイクが完成していてもバスローブならまだしも、ホテル専用のむーむーのようなものを着ている場合もあるし、前髪を直前までクリップでとめられていることも多い。ドレスに着替えたところで「さあ撮るぞ!」と意気込み、紅をいれる瞬間をファインダー越しに待っていても、メイクさんやアシスタントさんがかぶってしまい半べそをかくことも多々ある。
そんな集中しなければいけない瞬間のさなか、新婦の母上登場。ちょっとキツそう。彼女は私に手招きしながら大きな声で言った。
「あなた写真撮る人?こっちこっち。今みんな集まってるから早く来て。お願い。」
いや〜な予感。メイクシーンをおさめた後、親族控室へと向かう。
頼まれること
↓
家族ごとの写真。
分かっていた。分かっていたけど。
「多すぎるやろー!」と大声で関西風に言いたかった。ができず。
父母2人だけの写真、父母兄弟の写真、母祖母2人の写真、父母祖母3人の写真、鈴木家、鈴木家2、小林家、佐藤家、鈴木家の子供達と鈴木家2の子供達、親族の男性たちだけ、親族の女性たちだけ........。
えーっとおおお。撮るけど撮るけどさあ。そんなに組み合わせ変えなくても。
しかし、これをないがしろにしてはいけない。家族写真とは、後で焼き増しをたっぷりされて世に出回るもの。いい表情の家族写真は一家の宝物となる。ちょっぴりサムいギャグでもおばちゃんおじちゃんは、ひぃひぃと笑ってくれるだけが救いか?賑やかに撮影を終える。
花嫁完成。母上、ぱちり。×20枚ぐらい。
式中。母上、ぱちり。×50枚ぐらい。
入場。ぱちり。乾杯。ぱちり。スピーチ。ぱちり。ケーキカット。ぱちり。中座。ぱちり。撮るのはいいけど、私にぴったりくっつくのはやめてね、ママ。
「お母さん、ちょっとは席に座ってなさい!」とお父さんに怒られる。
母上は自分でもかなりシャッターをおしていたが、私にもかなりシャッターを押させた。
「ちょっとちょっと。右からの横顔も撮ってきて。」
「ねえねえ、○○子ひとりの写真、多く撮ってよ。」
「きてきて。笑ってるのばっかりじゃなくて口閉じたのもよろしくね。」
あぁ。母の愛って。
なんて思いながらも、私はちょっとイライラしていた。私はまるで彼女の子分。
そんなに私を頻繁に呼ばないでぇぇぇ。
披露宴もにぎやかに進み、3回のお色直しも無事終了。すでにへとへとな体を奮い立たせる私。あー!ビール一口くれえ。
そして最後のお手紙。ちゃきちゃきの新婦は元気な声で、両親への感謝の言葉を述べる。新婦は笑顔、新郎は号泣。最近よくあるパターンだ。
新婦から母へ花束を渡す。
私はその日一日母上に振り回されながらも心に誓っていた。「母上のいい表情を絶対撮ってやる」と。
が、彼女は5秒、いや10秒、かたくなに口をつぐみ下を向き、花束を受け取らない。会場がし〜んとなる。ドキドキした。「ほら、お母さん」と父上が優しく肩をたたく。
その瞬間、母上の目から大粒の涙が落ちる。大きな大きなため息をついた後、顔をあげ、やっとのことで花束を受け取る。彼女はきっと、「これを受け取ったらもう娘はよそへ行ってしまうんだ」と思ったんだろうな。
例のごとく、帰り道のカフェでビールを一杯。そのシーンを思い出しながら涙ぐむ。「お母さん、ちょっとムカついちゃってごめんなさい」と心の中で謝る。
ウェディングフォトグラファーは、日々、家族愛の勉強でもある。
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正座の新郎
http://hanayomeda.exblog.jp/711838/
2004-07-21T16:54:08+09:00
2004-07-21T17:08:36+09:00
2004-07-21T16:54:08+09:00
hanayomedamono
新郎
「挙式当日のメイクルーム」ーそれは2人の関係性が如実に表れる、ウェディングフォトグラファーにとっては、素の2人をじっくり観察して当日の撮影戦略を練る重要な場所でもある。2人の会話によって、彼と彼女の上下関係は自然と伝わる。彼女がきれいになっていく姿を横目に、「きれいだよ」とささやきかけているような、間違いなく尻にしかれている新郎もいれば、進行の最終チェックや謝辞の暗記、スタッフへの挨拶などで忙しく動き回る個人プレーの新郎もいる。そもそも新郎というのは第二の主役にもかかわらず、支度時間は10分もあれば十分だ。彼女と一緒に会場入りしたものの、暇を持てあまし、余計に緊張しているような新郎は案外多い。
今日の新郎。それは、もやしっこのような華奢で可愛らしい新郎であった。
「おはようございまーす」とメイクルームの扉を開ける。
・・・。
正座をしていた。
え?正座?
彼はメイクする彼女の横に(下に?)正座させられていた。しかし、怒られている風もなく、自然というか余りにも板についた感じで彼は彼女の子分のようにぴったりとくっついていた。打合せの時点で、彼女が実権を握っているのは明らかであったがまさかここまでとは。そんな2人の師弟関係?を横目に撮影を始める私。
彼女は彼に言った。
「あ、下にブーケ届いていると思うから取ってきてよ、○○くん」
「はい」
彼はすばやく腰をあげ、あっという間に姿を消した。ていうか「はい」って・・。これはプレーなのか?こういうプレーがあるのか?と少しあっけにとられる私。
5分後、彼は白いバラのラウンドブーケと彼女の髪飾り、そして彼が胸につけるブートニアを抱えて戻ってきた。
「あれ?頭につける花の数が足りない!やだぁ。ちょっと言ってきて○○くん。
私ちゃんと注文したよね?」
「うん。してたよ。」
「じゃあ、しっかり言ってきて」
「はい」
再び下に行く彼。
「言ってきた」
「ちゃんとこっちのミスじゃないって言った?これで追加料金とか取られたら困るからね!
そこまでちゃんと釘刺してくれた?」
「いや、えっと、そこまでは」
「何で?だから○○くんは甘いんだよ。つめが甘いんだよ!もう1回!」
「ごめん」
その時ドアが開き、お花やさんが入ってきた。
「ほら、○○くん言って!」
「きちんと注文しましたよね?これで追加料金とかとられたら困るんです」
「大変失礼いたしました。こちらのミスです。追加料金なんてとんでもない。」
と、ここまでの会話を聞きつつ「花1個で追加料金はないだろう!」と心の中で鼻から息を吐きながらも「いや、でも結婚式ってそういうことがありえる日なのかも」と思い直す。
1時間後、ついに花嫁完成。私の予想は的中する。
彼女は大満足の笑顔。「かわいい~!」を連発。彼は彼女に「えりりん〔仮名〕きれい?」と何十回も聞かれ、その度に満面の笑みを浮かべ「きれいだよ」と答えた。私はその彼の健気さに涙が出そうになった。えらい!えらいぞ、もやし!何てお似合いの2人なんだ!ていうか君しかいない!彼女には。
そんな不思議な関係の2人の結婚式は笑いあり、涙あり、すべてが順調に進み、友人たちもとても楽しそうで、あたたかな結婚式であった。彼女が転ばないように移動中のドレスを持つ彼、フラワーシャワーの後の花びらをほうきで掃く彼、披露宴中も彼女のグラスが空になると、小突かれながらビールを注ぐ彼。(これらの仕事は通常まわりのスタッフがやります。念のため。)その仕事に少しでもミスがあれば、彼女からの一喝は容赦なく飛ぶ。
「新郎って何だろう」と、こんなにも考えさせられた1日は初めてだった。
しかし、ドラマティックな結末は披露宴の最後に起こる。
感動の花束贈呈も終わり謝辞の時間。通常、謝辞とは新郎の父の後に新郎が最後にぴりっとしめる、ゲストへの感謝の気持ちをのべるもの。しかし、今日はしっかりものの新婦もマイクを手にした。彼女は親への感謝とゲストへの感謝の気持ちを述べた後、こう言った。
「私たちは本当に仲が良くて、けんかをしたことがありません。
そんな彼に出会えて私はすごく幸せです」
・・・・・・・。
けんかはないかもな。でも。
その表現はあっているかな。あっているかな、えりりん?(私の心の声)
前々回の花嫁同様、また彼女の横に小走りで駆け寄り小さく突っ込みをいれたい衝動に駆られながらも、必死に体をおさえ、私は彼のスピーチに耳を傾けた。すると(私の見た範囲では)朝からちょっと、というかだいぶ頼りなげで情けなかった彼が、何と白馬に乗った王子様になったのである。(たぶん白タイツが似合うな彼。)
「彼女のことを絶対に幸せにします!」
聞いたこともないような彼の腹部からの叫びは、ゲストからのどよめきとともに大きな拍手の中へと消えていった。
私→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→号泣。
またやってしまった。やられた。目の下はすでに真っ黒。ウォータープルーフのマスカラを買おうと思いつつ面倒くさがってしまった自分を責める。あー。塗らなきゃよかったこんなもの。主役でもないのにちょっと目をぱっちり見せたいと思った私のバカバカっ。ハンカチで鼻をかむ。
今日は近くに好みのバーがないようだったので、フランチャイズのプロ○トで我慢する。彼をあそこまで夢中にさせる彼女は一体・・・。何なんだ、その魅力って。あんなに愛されているなんて。教えてほしいじょおおおおおお。別に失恋したわけでもないのに、やや嫉妬の念に駆られる。ビール3杯で席を立つ。
ウェディングフォトグラファーは日々、女力の研究でもある。
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貧乳花嫁
http://hanayomeda.exblog.jp/540403/
2004-06-28T18:59:42+09:00
2004-07-20T03:49:14+09:00
2004-06-28T18:59:42+09:00
hanayomedamono
新婦
ウェディングフォトグラファーのミッションの1つに
「花嫁姿を美しく撮る」
というものがある。それは当たり前のようでいて、実は非常に難しいミッションのひとつ。なぜなら、
理由その1.
「花嫁」と一口に言っても鼻ぺちゃさん、のっぺりさん、がりがりさん、でぶっちょさん、にきびさん、ケツでかさんなど、本当にいろいろな花嫁がいる。(※花嫁さんは当日、本当にみなさんキレイです。)その個々の特徴を把握した上でのカメラアングルなどを考えなければならない。
理由その2.
結婚式は写真を撮るためのイベントではない。「ちょっと待って!」と自分がイメージした写真を撮れなかったからと言って、式の進行を止めることは一切してはいけないのが掟。つまり「一瞬を切り取る」という仕事である以上、決められた時間の中で、次に何が起こるか、どういう表情をするかを予測しながらシャッターをきるという作業をしていかなければ、式はすぐに終わってしまうのである。
理由その3.
私が美しいと思った「彼女」が、必ずしも彼女のお気に入りの「彼女」であるとは限らない。友達の前で見せた幸せいっぱいのクシャクシャに笑った彼女の写真を、後日、本人が見て「こんな目尻のシワが目立つ瞬間撮らないで!」と怒ることもなきにしもあらず。そうならないためにも、彼女がどういう性格の持ち主かある程度把握していることが大切。
その日の花嫁、それは「貧乳花嫁。」
おそらく巨乳の人にこんな風に呼ばれたらものすごく腹が立つかもしれないが、私もグラビア系の乳を持っているわけではないので、たぶん大丈夫だと思う。「貧乳事件」の発端は、(たぶんそろそろ怒られる)彼女がベアトップのウェディングドレスを選んだところから始まる。「ベアトップ」つまり、肩ヒモがないタイプの、肩と鎖骨を大胆に出したドレスである。
「貧乳」であることは事件ではない。胸が小さいということを気にしすぎて、彼女が巨大胸パットを装着してしまったことが「事件」なのだ。そのパット、何回トップをぐいぐいと上にあげても次第にチョロっと顔をだしてくる。ポーズ写真の時は差し支えない。なぜなら私が女であるという特権を最大限に利用し、写真を撮る直前に彼女の隣にいって「ホイ」っとドレスを上に上げてしまえばいいのだ。もちろん彼に見えないように、介添えさんにもびっくりされない程度に。しかし、披露宴となるとゲストの前で雛壇にあがっている主役である以上、そんなこともできない。上から見ても横から見ても巨大胸パットが私に微笑みかける時、私に与えられたアングルはひとつ。「下から」である。
だが、そんな時に限って花嫁は
「うけ口」だったりする。
神様のイジワル。
下からファインダーをのぞけば、イノキも真っ青のあごのライン。「彼女けっこう気にしてたよなあ」と、打ち合わせ時の会話を思い出す。下斜め以外のアングルからなら彼女にはキレイに見えるゾーンが山ほどあった。「う〜。あの胸パットさえなければ・・・」と、彼女の胸元に手を突っ込んでブーケトスならぬ、胸パットトスをしたい衝動にかられながらも、胸元のうつらないヘッドショットや、手前の装花で微妙に胸元をぼやかしたショットなどをかきあつめ、披露宴は無事に終了。
そんな私の苦労ぶりを微塵も知らない2人は、幸せいっぱいの笑みを浮かべて私に手を振って見送ってくれた。
いつもよりどっと疲れて立ち寄ったバーでビールを飲む。「貧乳の花嫁にはどんなドレスが一番似合うのか」を考えているうちに、「グウィネスが映画の中で着てたパフスリーブのドレスは可愛いかったよなあ」と、いつの間にか自分が着たいドレスにテーマがすりかわる。そう、数あるウェディングドレスの中でたった1着を選ばなければいけない花嫁にとって、ドレス選びは大仕事。いろんな妄想の末、やっと選んだドレスを着た日は舞い上がってしまうのも無理はない。その「ドレスを着た自分」の写真を見るのを待ち焦がれるのは誰でも同じ。胸パットがちらりと(本当はバッチリと)除いている写真が1枚でもあろうものなら、デートの後、家に帰って鏡をのぞき歯に青のりがついていた時よりも100倍ぐらい落ち込むに違いない。
ウェディングフォトグラファーには、イケナイものを見てしまった時の瞬時の判断力と、そのイケナイものを本人に気づかれないように包み隠す包容力が必要である。
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