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「ど近眼だって花嫁だもの」vol.1
ウェディングフォトグラファーには一瞬にして、今日の花嫁がどういう女性か見極める「鋭い洞察力」が必要である。当日、着てきた私服、彼との会話、スタッフへの対応、家族とのやりとり、そんなものから映し出される彼女の性格を汲み取りながら、底の部分にある見えない美しさを短時間でどれだけ引き出すかが勝負である。 「びん底めがね。」 小学生の時にクラスでこういう呼び名でからかわれている子が大抵一人はいた。言うまでもなく、牛乳瓶の底のように分厚いレンズのメガネのことだが、これは花嫁姿にはまず似合わない。純白のドレスにパールのネックレス、ティアラなんかを頭にちょこんとのせてベールで顔を包み込み・・・ めがね。 ・・・。 どう頑張っても違和感がある。新郎でメガネをかけて結婚式に臨む人はそんなに珍しくもないが、新婦でメガネをかけてドレスを着ている人はほとんどいない。かけている人はもちろんいるが、写真を撮る時にはずしたり、式と披露宴の間は視界がぼやけていても「せっかくの花嫁姿」をみんなに見てもらう為にメイクルームに置いてくる人がほとんどである。だが、今日の新婦は違った。 その名も、 「びん底花嫁。」 である。「めがねなしでは生きていけない」花嫁である。私も極度の近視である。お酒を浴びるように飲んでコンタクトをしたまま眠っちゃったりすると(本当に目にはよくないのに)翌日、目が痛くてメガネの1日となる。お化粧する時にコンタクトをしないで鏡を見ても、顔のパーツがいまいちくっきり見えないので、ファンデーションを塗ってはメガネをかけ、アイシャドウを塗ってはメガネをかけ、という具合に確かめながらでないと化け物のような化粧になる。また、メガネ着用時の化粧とコンタクト装用時の化粧を同じにすると大変なことになる。メガネにもよるとは思うが、ピンクの春らしいチークなんかをちょっと大胆にいれちゃったりしてメガネをかけて見ると「ばかじゃん、私」となるわけである。だからメイクさんにお化粧してもらいながらもキレイになっていく自分の姿をめがね越しに見たい気持ちもわからなくはない。 さて、メイクも完成し、式の前にポーズ撮影。私はびん底花嫁に「写真を撮る時はメガネ外したほうがいいですか?」と質問した。それは当然「あ、そうですね」という答えが返ってくるものと思いつつの質問であった。すると「いえ、取ると何も見えなくなるのでこのままでいいです」と赤面して答える彼女。 不意打ち。 その後も数回「本当に?」と念を押してみたが 「いや、めがねをかけているのが私なので」と極度の拒み。 撃沈。 「何だよぉ、そのメガネ顔にくっついちゃってんのかよぉ」と私の中のちんぴらが心の中で肩を入れながら歩き始めた。だって、メイクルームでめがねをちょっと取った彼女は本当にかわいくて、嬉しそうで、「何でそのメガネなんだぁああああ!」と叫びたくるほど素敵な花嫁だったのに。まあ、しつこく「はずせぇえ」と言うのも何だし、「めがね外したほうがかわいいですよぉ」なんていうのも押しつけがましいし。第一、結婚式というのは何よりも時間がない。カメラマンに十分に時間をくれる会場なんてほとんどないのが現状である。腕時計に目を見やるプランナーやアテンドの女性たちに囲まれながら、まあ、本人がいいならいいかなと思い、激しくテレ屋のびん底めがねカップルを写真におさめた。(言い忘れたがこの日、新郎もびん底めがねだった。夫婦って似るのですね。)カメラマンとしてはちょっぴり消化不良。ちぇっ、と石ころを蹴りながらタバコをふかしながら式が始まるのを待った。(うそ) チャペルの鐘が「カラ〜ン、カラ〜ン」と式の始まりを告げ、いよいよ新婦と父親の入場。扉が開いたぁ、新婦と父親おじぎぃ、はい、2人でバージンロードを一歩一歩歩いてぇ、と実況中継を始めた私の目に飛び込んできたもの、それはめがねをはずした花嫁であった。 えっ? えっ? できれば親族席の通路側に割り込ませてもらって、バージンロードを歩く彼女に「はずしとんやないかい!」と右手で突っ込みをいれたかったが、それも叶わぬ願い。あー私も関西人だったらなあと変なところで関西弁への憧れを持ちつつ、シャッターを切ったのである。 オンナはかわいい生き物だ。「めがねをかけているのが自分」と言いつつも、旦那さまになる人に「誓いのキス」をしてもらう時にはやっぱりめがねをかけていない自分にキスをしてもらいたいのである。 「結婚式の前日には絶対に飲み過ぎないようにしよう!」と結婚予定もないのに変な決意をしつつ、「女ごころもわからねぇようじゃぁ・・」と自分の至らなさも感じつつ複雑な心境でその日の撮影を終えたのでした。 ウェディングフォトグラファーは日々、女性ゴコロの勉強です。
by hanayomedamono
| 2004-06-28 14:23
| 新婦
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